日々のこと one's fifties

one's fifties(50代)の日々のこと、風景、読んだ本、簡単でおいしい料理などを書いています。
      
     
       
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当ブログはお引越しします。

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ほんのひとときを・・・ で

“老婆”になっていくkeikoの日々を綴っていますのでご覧ください。




またのお越しを ほんのひとときを・・・でお待ちしています。


 
日記 | 00:00 | comments(0) | - | - | - |
『半島へ』



     『半島へ


      稲葉真弓  /  講談社

      2011年5月発行








東京の喧騒と人混みが大好きで、自分の生きる場所、必要とされている場所は東京しかないと思っていた著者が
三重県の志摩半島に別荘を建てる。(著者、五十歳代半ばのことか?)
最初は年に数度訪れるだけの別荘だったが、ある年、およそ一年を志摩半島の別荘で暮らした記録である。

本書の発行が2011年、稲葉真弓さんがすい臓がんで逝去されたのが2014年・・・。病を得てからの半島暮らしだったのか、
時の移ろい、生あるものの移ろいが自然の流れの中でよく描かれている。
都会の生活のほうが良いとか田舎暮らしの方が良いとかの話ではない。

都会での暮らしは便利で心地良いかもしれないが、その「心地良さ」とは、少なくとも自然との格闘や濃密な共同体やほじくり出される過去のしがらみがないことだろう。その一方で消費社会がナマハゲみたいに「どうだ素敵だろ! どうだ、どうだ」と立ちはだかってくる。が、生活は便利である。
何かを捨てて、都会→田舎、田舎→都会へと移り住む人々がいる。

日々は似たような形で過ぎながら、
時は移ろい、
季節は移ろい、
時代は移ろい、
生あるものも(自分も)移ろう。

日暮れどきを唄った音楽を聴くような小説。










 
読みもの | 18:56 | comments(0) | - | - | - |
『ガーデン・ガーデン』


『ガーデン・ガーデン』


稲葉真弓  /  講談社

2000年8月発行

稲葉真弓 (いなば まゆみ)
1950年、愛知県生まれ。県立津島高校卒業。小説家。
著書多数。女流文学賞、平林たい子文学賞、川端康成文学賞など受賞作品多数。
2014年、すい臓がんのため逝去。享年64歳。



『ガーデン・ガーデン』 『クリア・ゾーン』 『春の亡霊』の三つの作品が収められている。
いずれも1996年に発表されたもの。

あとがきには、
「十数年前、不思議な仕事に関わったことがある。性がまだひそやかな意味を持っていたころのことだ。表題作の「ガーデン・ガーデン」は当時の体験が下敷きになっている。・・・・・」とある。

いまから三十年ほど前のことになるのか・・・。夫婦やカップルが性交や性器の写真を投稿したり、乱交相手を求める雑誌があったらしい。そこで編集者として働いた日々を綴った作品が『ガーデン・ガーデン』である。
特集記事を組むために読者へのインタビューのために自宅を訪問してみると、社会的地位もあり経済的にも裕福で庭には花が咲き乱れるような生活をしている人々が、夫婦関係を維持するためにその手の雑誌や関係を利用していることが多かったりする。

現実の生活・世界に馴染めず、自分一人の夢見るような世界に逃避行したものの、夢は所詮夢でしかなく、現実を認識できない男の物語が『クリア・ゾーン』だろう。
警備員の仕事をしながら担当していたビルの合鍵を密かに作り、深夜無人のビルに潜り込むことを密かな楽しみとしている男。
何かを盗る目的ではなく、ただ、東京の夜景を眺めているだけ。・・・・ある時から、道路一本隔てた向かいのマンションに住む女性に興味を持つ。・・・・・現実の世界にうまく馴染めず、直接的な関わりを持たなくてもよい世界への逃避行。
無人のビルでただひとり、夜景を眺めているときの男にはちょっと同情が持てて、本書の三作品の中では私が一番面白く読めた作品。


後に、稲葉真弓さんは三重県の志摩半島に別荘を建て、東京の自宅から通うことになったことから作品の領域が拡大し、大きな評価も得るようになったとのこと。
本書は “砂漠のような東京”で彷徨える日々の作品として、
稲葉真弓という作家にこういう日々があったという、“ひとりの作家の歴史”として読める作品集の一つだと読んだ。






 
読みもの | 13:59 | comments(0) | - | - | - |

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